Title: The Psychology of Money
Author: Morgan Housel
Pages: 242
Published in: 2020
久しぶりの洋書レビューです。
bookstagram、洋書界隈にとどまらず、節約、投資系のSNSでもよく見かけるこの本、ずっと気になってたんですよね。
さて、嫌でも日々感じるのは、インフレ、円安、増税などによるお金の不安です。
しっかり働いていても給料は上がらないのに、支出は増えるし、政治が悪いとか日本オワコンなんかの意見も聞きますが、まぁそれはそれとして、根本的な「お金の不安」は日本だけのものでもなく、世界共通のもののようです。
本書では、その不安とどう付き合うか、お金とうまく付き合うのに必要なものは何か?が書かれています。
今回、私が特に大事だなと思ったところを本文抜粋と独自の解釈訳でご紹介したいとおもいます。
"doing well with money has a little to do with how smart you are and a lot to do with how you behave." (p.2, Introduction)
「お金とうまく付き合うには、どれだけ頭がいいかではなく、どう行動するかが大事です」
導入部では、世間一般に頭のいいと思われるような人が、感情をコントロールできなくなって最悪なケースになる例と、目立つような人ではなくても粛々と富を築いている人の例が挙げられています。
ここではお金にまつわる「感情をコントロールすること」の大切さを学び、適切に「行動すること」が大事だと学ぶことができそうです。
では、適切に行動するとはどういうことでしょうか?
今よりもっと頑張って、さらに上を目指すことでしょうか?でもそれはとても大変なことだということを知っておかなければなりません。
"A hyper-connected world means the talent pool you compete in has gone from hundreds of thousands spanning the globe." (p.108)
「 ネットやスマホにより高度に繋がった世界では、あなたが競争しようとしているのは、優秀な人が何百人、何千人といる世界です。」
そんな世界の中で、ではどう適切に行動し、不安と付き合えるのか?ここで大事なのが、
"flexibility" (p.109)
「柔軟性」です。
言い換えると「ソフトスキル」です。テクニカルスキルの反対に当たります。
「コミュニケーション能力」などもソフトスキルです。著者は本書の題名にある「お金の心理学」もソフトスキルであるといいます。
よい機会があれば利用し、必要や環境に応じて柔軟に行動する能力を持つことが大事ということです。
また、本書では何事も「moderate」=「ほどほど」がよいとしています。なぜなら、
"Long-term planning is harder than it seems because people's goal and desires change over time." (p.147)
「目標や願望は時間の経過とともに変わってしまう。だから長期計画は思っている以上に難しい」からです。
人も周りの環境も「時間」とともに変わります。だから、極端にかたよらず、何かに投資をするのも、節約するのも、時間をかけながら柔軟に自分の無理のないペースで続けていくことが、お金と付き合うのには大事なことだということです。
以上を一文でまとめると、
「お金とうまく付き合うには、時間をかけて柔軟に粛々と行動すること」
と言えるでしょうか。
このような心の持ちようが、大切のようです。
今回紹介しきれていない部分では、歴史をもとにしたお金にまつわる出来事、著者の実際の節約投資ぶりなんかも書かれています。
1チャプター当たりおよそ10ページで大事なポイントが解説されており、全部で20チャプターあります。
英語は、専門的な難しい単語はあまり出てきません。洋書多読で読まれるかたは、1日1チャプターづつ読むだけでも、英語とお金の勉強を無理なく続けることのできる良い本だと思いますので、ぜひ本書を手に取って読まれることをおすすめします。
実際の邦訳は「サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット」というタイトルで出版されています。
こちらにアマゾンのリンクを貼っておきますので、ご参考になさってみてください。
英語版
日本語版
皆さんのお役に立てれば幸いです。
以上、最後までお読み頂きありがとうございます。