2020年2月12日水曜日

ブックレビュー『IKIGAI ~日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣~』



タイトル:IKIGAI ~日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣~
著者:茂木健一郎 (Ken Mogi)
訳者:恩蔵絢子
出版年:2018年
Rate:4/5☆


今、世界中で「IKIGAI」という言葉がブームになっています。

アメリカの研究者ダン・ベッドナーが長寿地域を意味する「ブルーゾーン」の概念を広め、その長寿の理由で日本・沖縄の「IKIGAI」に言及したことで注目されました。

「IKIGAI」は、そもそも日本の言葉、「生きがい」のことです。

私は今、この「IKIGAI」について書かれた本を、2冊読んでいます。

1冊は、2017年に出版された洋書、「IKIGAI The Japanese Secret to a Long and Happy Life」。
Hector Garcia と Francesc Miralles が書いた本です。
海外では多くの人がこちらの本を読み、「IKIGAI」の指南書として、SNSでも話題にしています。
(こちらのレビューはまた後日。)

そしてもう1冊、「IKIGAI」という同じタイトルでありながら、上記の本とは全く別のもの、日本人が書いた「IKIGAI」を、今回ご紹介したいと思います。



著者は、テレビでもよく見かける、脳科学者として有名な茂木健一郎さんです。

「IKIGAI」がブームとなっている中、「日本人の感覚」で「IKIGAI」について本を書いて欲しいと、イギリスの出版社から茂木さんに依頼があったそうです。
そこで、茂木さんが日本人の感覚を持ちながら、日本の本質を外から探るために日本を離れ、英語で「IKIGAI」を書き上げました。
これまでに30か国、28言語に翻訳されています。
それを逆輸入して、日本語訳されたものがこの本になります。

『この本を通して、我々は、日本における生活様式、文化、伝統、考え方、人生哲学を見直しながら、<生きがい>を持つことで導き出される、健康、長寿についてのヒントを得ることになるだろう』(第一章:『<生きがい>とは何か』より)


寿司、大相撲、雅楽、伊勢神宮、ラジオ体操、コミケなど、日本のさまざまが、この本につまっています。
そういったさまざまなものが、私たちの<生きがい>を生んでいます。

<生きがい>とは、「生きる喜び」「人生の意味」。  
<生きがい>は、あなたに頑張る力をもたらし、あなたの人生に目的を与えるものである。

「人生の目的」はどんな国の人でも持っています。

けれども、西欧の人が持つ「生きる目的」は、日本でいう、<生きがい>とは少し違うようです。
西欧では、大統領からの賛辞をもらうことや、ミシュランに掲載されることなど、誰にでも誇れる業績や家族、壮大な人生プランを「生きる目的」として捉えています。

一方、日本人は、普段から<生きがい>という言葉を何気に使っています。
日本人にとって、<生きがい>は壮大なものではなく、誰にでも開かれたものであり、とても「小さなこと」なのです。
朝の散歩だったり、花の水やりだったり、目覚めてすぐに飲むコーヒーだったり、すやすや眠っている子供の寝顔だったり…
<生きがい>は、「朝、目を覚ます理由」になるのです。

日本ではさまざまなものに神が宿ると信じられてきました。
ものを大事に扱うことや、ご飯粒一つでも残さず食べること、トイレの神様の話など、子供のころから私も聞いて育ちました。
このように、日本人のものの見方の根底にある「八百万(やおろず)の神」という概念は、<生きがい>をすごく身近なものとして捉える理由にもなっているというのです。


日本の伝統文化については、知っているようで知らなかったことが多くあり、この本を通して、「日本」という国を再発見することができました。

なぜ、多くの外国人が日本に来るのか、どこに魅力を感じているのか、ずっと不思議でした。
この本を読んで、その気持ちがわかる気がしました。

「日本」という国の本質を見つめ直し、そして自分なりの<生きがい>見つけて、毎日、一瞬一瞬を大事にしていきたいと思える1冊でした。


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