2020年9月24日木曜日

ブックレビュー『ハーバード x MBA x 医師 目標を次々に達成する人の最強の勉強法』


タイトル:ハーバード x MBA x 医師 目標を次々に達成する人の最強の勉強法

著者:猪俣武範

出版年月:2016年2月

ページ:271

Rating:4/5☆


この本では、著者自身がどのように勉強して、医師として勤務しながらハーバード大学に留学し、MBA取得を達成したのか、体験談をふまえ、
「仕事と勉強を両立しながら、目標を次々と達成するための考え方と、語学習得も含めた具体的な勉強法」が紹介されています。




忙しい社会人や主婦など、勉強以外の本業がある方、また勉強する時間を確保するのに苦労されている方に参考となる1冊です。

前回レビューでご紹介したホリエモン著の『英語の多動力』では、英語x多動力で、「タグ」を増やし、自身の価値を高めていこうという内容を紹介しました。

前回の記事はこちら➡『英語の多動力』

今回紹介する本の内容は、どのような目標を見据えて達成していくのかという「目標設定の技術」と、いかに時間を見つけて集中して勉強をするのか、「時間管理と集中力を高める技術」に関して具体的に書かれています。

さらには「ハーバード」「MBA」「医師」と3つの「タグ」を持った著者が、留学しMBA取得するにあたり、どのように英語を身につけたのか、英語学習術に関しても書かれています。


まず最初に、「人生で達成したい目標とはどんなものか」というところから考えていきます。

「働かなくても不自由なく暮らせる程のお金持ちになること」
もしくは、「いつまでも健康で充実した生活を送ること」でしょうか。

この本では、目標はSMARTに立てることが大事だと言われています。

SMARTとは、
S = Spaecific 具体的に
M = Measurable 数値などで評価可能 
A = Achievable 達成可能
R = Realistic 現実的に
T = Time-bound 期限が設定されている

SMARTな目標の例として挙げられているのは、
「2021年までに、TOEFLで100点をとるために英単語帳を毎日20ページすすめる」
「教養をつけるために、週に2冊本を読む」
などです。

先ほど述べたような「お金持ちになること」を目標にすることはSMARTではありません。
「2030年までに、複数の不労所得で月収20万円を確保するために、毎月収入の3割を投資に充てる」とする方が、よりSMARTな目標と言えるでしょう。

次にすることは、ゴールを下記の7つのカテゴリーに分けて、それぞれ最低ひとつ以上のSMARTなゴールを立てることです。

①仕事(キャリア) 
②家族
③経済(金銭)
④健康
⑤教育(自己啓発)
⑥趣味
⑦その他(ボランティアなど)

それぞれ1年後、5年後、10年後の自分を感覚的に思い浮かべていくといいようです。

これらの目標は、紙に書いておき、定期的に「目標を見直すこと」が大事です。

目標を見直すために著者が勧める方法は、「3か月毎に履歴書を書くこと」だと言っています。
現在の履歴書から、3か月後、半年後、1年後、どのように変化しているか。
目標に向かって進歩しているのが目に見えるからです。
履歴書に何も変更がなければ、行動を変える必要があると思えます。

そしてなにより早く、目標にむけて「実行に移すこと」が大事です。

そこで必要になるのが「時間管理」と「集中力」です。

この本で、わたしが一番なるほどと思ったのが「複利の考え方を時間管理に取り入れる」という内容です。

「複利」とは、利子が利子を呼び、次第に増えていくことです。
「複利」の概念を意識することで、今すぐにでも早く勉強を始めた人は、加速度的な成長をすることができるというのです。
勉強も早く始めれば始めるほど効果的なのです。
若いうちから勉強することで得た知識や経験は、その後も複利的に大きくなるというのです。


勉強する時間を作るために必要なことは、「ムダを省き、集中する」ことです。

そのためにまず、複数の目標に一貫性を持たせること。
目標に一貫性があれば、その目標に向けて行う努力と時間は、目標間の結びつきを強め、ムダを省くことが可能です。
一つの努力が全ての目標につながるからです。

次に、勉強を始めるときの「取引コスト」を減らすことです。
「取引コストを減らす」とは「すぐにとりかかる工夫をする」ことです。
「スキマ時間」を活用しながら、座ったら10分でも単語帳を開く、本を読むなどすぐに取り掛かれるようにすることです。
メールチェックをしてから、なにか食べてからという取り組みはダメなんですね。



英語学習術についてお話する前に、この本だけでなく英語学習に関するどの本でも、「なぜ英語を勉強するのか」という目標をもつことが大事だと言われています。

英語は目標に応じた能力に絞って勉強するのが良いそうです。

この本の著者の場合、「グロービッシュ(意思疎通のできる英語)を身につける」という目標を設定しています。

今や英語を話す人の78%は非ネイティブで、人種により様々な訛りやアクセントで話されており、もはや英語は意思伝達のツールにすぎないというのです。

グロービッシュを身につけることが目的となれば、完璧な発音や文法より、生きた英語にたくさん触れることが大事です。

例えば、TEDなどの動画をみながらリスニングを鍛え、雑誌や論文、決算書など、仕事や趣味に関連する文章を英語でたくさん読み、履歴書を英文で書き、さらに自己紹介を完璧にすることでスピーキングをも鍛えることができると言います。



ところで、スマホのスクリーンタイムに皆さんはどれだけ時間を費やしているかご存じですか?
Kindleで読書をしているという方は別として、おおよその方がスマホで何をしているかというと、ゲームや、LINE、TwitterなどのSNSに1日平均3時間以上費やしているそうです。

このような時間を意識して勉強や読書にあてることで、より充実感のある毎日をおくることができそうですね。


以上、今回は、本業が忙しい人でも、目標を次々に達成していく方法をまとめた本を紹介しました。

興味のあるかたは下記のリンクからチェックしてみてください。




ちなみに、この本にでてきた「複利」の概念を、「習慣」に当てはめた James Clear著の『Atomic Habits』(邦題『複利で伸びる一つの習慣』)は、「習慣作り」に非常に役に立つ実践的な内容が盛りだくさんで、全米ベストセラーにもなっています。
興味のある方は、ぜひ下記の本も併せてチェックしてみてください。

詳しいレビュー記事は、こちら➡『Atomic Habits』


最後まで読んで頂き、ありがとうございます。






2020年9月17日木曜日

ブックレビュー『英語の多動力』

 




タイトル:英語の多動力
著者:堀江貴文
出版年:2018年
ページ数:250
Rating:4/5☆


英語を勉強している人、これから何か勉強しようかと学びに興味がある人におすすめの1冊。

この本では、
「英語」X「多動力」で、世界の人とつながり、自分の好きなことにとことんハマることで、自身の可能性を最大化する方法が書かれています。




英語と未来を考えたとき、AIの進化により、英語を学ぶ必要性が少なくなってきているように感じます。

しかし、そのことを英語を学ばなくていい理由にするな、とホリエモンは主張しています。

単なる「英語が堪能な人」は、山ほどいます。

これからの時代、それでは何もできないのと同じなのです。

つまり、
「英語」X「0」=0

大事なのは、「英語」と「何」をかけ合わせるかです。

「英語」X「?」=???


要するに、英語を使って何ができるか?

自分の価値を高める知恵を絞ることが肝心だと言うのです。


では、具体的に自分の価値を高めるには、どうすればいいのでしょうか。

大事なのは、3つの「タグ」を作ることです。

「タグ」とは付加価値のことで、自分の売りとなることです。

厚切りジェイソンさんの話が例として出されています。

彼は、「日本語が堪能」なアメリカ人で、「お笑い芸人」として活躍しながら「IT企業の役員」でもあります。

「日本語が堪能」x「お笑い芸人」x「IT企業の役員」
=1/100万のレアな人材

これを参考にして、自分だけの3つのタグを考えて作ればいいのです。

そうすることで希少性を生み出し、自分の時価総額を高めることができるのだと言われています。


では実際に何かを学ぶときに気をつけておきたいことはあるのでしょうか。

それは「お勉強」と「学び」の違いについて知っておくことです。


「お勉強」=与えられたものをこなすやり方で、受動的なもの。

「学び」=没頭するもので、「楽しい」能動的なもの。


まずは、興味のあることをとことん「学び」、「学ぶ」ことが楽しくて仕方がない状態にまで、ハマりまくるのがいいみたいです。

その1つが「英語」です。

楽しく学び、没頭し、毎日触れることが大事なのです。


けれども、どうやって没頭できる時間をつくればいいのでしょうか。

時間はつくればいくらでもある」、とホリエモンは言っています。

余った時間に勉強するのではなく、最初に英語を勉強する時間を確保しておけばいいと言うのです。

元グーグル日本法人名誉会長も、多忙であることが想像できますが、1日3時間、毎日休まず3年間英語を勉強されているのだそうです。

スケジュールに、ワクワクする学びを詰め込むことが大事なのです。


そしてなにより圧倒的に大事なのは、「実行力」です。

思いつきよりも考えたことを努力して形にした人が、評価されるのです。


「学ぶ」楽しさを発見し、自身の時価総額をあげていく努力をしていこうと、その気にさせてくれる楽しい1冊です。




2020年9月3日木曜日

ブックレビュー『本物の教養を身につける読書術』



タイトル:本物の教養を身につける読書術
著者:出口汪
出版年:2019年
ページ:219
Rate:4.5/5☆


情報が溢れている現在、受動的に情報を受け取るだけでは、情報が更新される度に一喜一憂してしまいます。
そのような情報に感覚的な反応しかできず、自分の都合のいい情報しか集められずに、自分こそが正しいと思いこんでいませんか?

本当に必要な情報を見極め、物事や他者を理解することができる教養のある人間になるには、「読書」が必要だと言われています。

この本では、「読書」を通して得られるものとは何か、具体的な読書法、そしてこれからの時代を生き抜いていくのに必要な力とはどのようなものかが書かれています。




「読書」を通して得られるものとは?


まず、この本でいわれる「読書」とは、名作と呼ばれる文学や哲学書、思想書と呼ばれる類であり、ネット情報をまとめたようなビジネス書や自己啓発本は含まれていません。

なぜ、ネットのような情報系の本ではなく、文学作品なのでしょうか。
ネット情報は、めまぐるしく更新され、次の瞬間には古い情報となってしまい、あとに何も残りません。
情報によって知ることは、それだけで考えることに繋がらないからです。

けれども、名作とよばれるものは、読者に想像力を強要します。
それは脳の中で論理的に筆者の主張を解析しようとさせるのです。
つまり、名作を読むためには、人の話の筋道を正確に理解することができる「論理力」が必要なのです。

想像力、表現力、発想力などの脳の総合力をアップさせる「論理力」を身につけることができる、それがこの本でいわれる「読書」なのです。


論理力を鍛えるための読書法について


では、具体的にどのようにして本を読めばいいのでしょうか。
著者があげる読書法の具体例からポイントを3つに絞って紹介していきます。

①自分の生活感覚を捨て去る
例えば、男は男であること、女は女であることに、とらわれずに読むこと。
つまり、一つのものを様々な角度からとらえる感覚、「レトリック感覚」をもつこと。

②自分が大切だと思った箇所でなく、筆者が主張したいことに線を引く。

③人に説明できるように読む
論理的に理解できれば、図式化できるはずです。
それを自分の言葉で人にうまく説明できれば、その文章は消化されたことになります。

これらからわかることは、ただ何となくという読み方ではなく、文章の筋道を追っていく読み方「ロジカルリーディング」を意識して読むといい、ということです。


これからの時代を生き抜くために


AIの普及により、苦痛を伴うような労働は代わりにロボットが担ってくれ、人間はより自由で創造的な生き方ができるようになります。

一方でそれにより、これから仕事がなくなる人と、大きく稼げる人との格差が大きくなってしまいます。
大きく稼げる人とそうでない人の差は、何なのでしょう。
人間にあって、AIにはないものを持っているかどうか。

それは「考える力」です。

「考える力」、つまり「教養」と「想像力」を備えていれば、生活のさまざまなシーンで創造性を発揮することができ、収入もケタ違いに変わるというのです。

「読書」は、日常考える必要のないことを考えさせる行為だと言われています。

いわば、AIの普及により生まれる格差は、本を読む人と読まない人の間に生まれている格差と同様と言っていいかもしれません。

ここまで言われると、読書がいかに大切であるかがよくわかります。

読書の必要性を知った今、では、どんな本を読めばいいのでしょうか。

この本では、著者自身の読書体験や、名作ガイダンスとして50作品の本の紹介がされています。
今後の本選びの参考となりそうです。


ちなみに、著者はこの本のなかで、「読書」は最強の老化防止策だとも言っています。


毎日少しでも本を読む習慣をつけて、論理力のトレーニングを重ね、AIにも負けない、豊かで素晴らしい人生を送れるようになるといいですね。


最後に、著者について


この本の著者である出口汪さんは、予備校のカリスマ現代文講師であり、評論家、実業家として現在も活躍されています。

実は、わたしも数十年前に、大学受験を控えた一人の生徒として、著者の現代文の授業を受けたことがあります。とにかく話が面白く、説得力のある授業が楽しくて、あっという間に時間が過ぎてしまった記憶があります。
そのころに「論理の基本ルール」「ロジカルリーディングとは」「接続詞の重要性」について学ぶことができ、そこで得た内容は、受験だけでなくその後の大学生活、社会人になってからも報告書や企画書などの資料を作成する際など、大いに役立つ機会があったかと思います。

著者の書いた本は、この本以外にも多数あり、それらの本では授業で教えてもらったエッセンスを効率よく学ぶことができるものとなっています。

現在受験生で現代文を学んでいる学生はもちろん、子供のいる親御さんにも今後の子育ての参考になる本かと思います。

気になる方はこちらも合わせてチェックしてみてください。







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