2019年11月25日月曜日

Book Review 『舟を編む』

ここのところ何冊か同時進行で読み進めていた私の読書スタイルが、この一冊によって狂いました。















タイトル 『舟を編む』
著者 三浦しをん
Rate ★★★★★

この本を一冊読み切るまで他の本を読みたいとは一切思えませんでした。
というのも、この本を読んでいる時間があまりに心地よすぎて。。
最後のページに近づくにつれ、読み終えてしまうのが惜しいと思い、そして読み終えた後は、切なさと充実感とが入り混じった、なんとも不思議な気持ちになりました。


「君は『右』を説明しろと言われたらどうする?」

この質問を受けて、自分ならどう答えるだろう?

お箸やペンを持つ手?
でも左利きの人もいるよね?
北を向いた時の西の方向?

言葉を正しく定義することの難しさ、時代によって変化する言葉の意味、それらをまとめて1冊の辞書にすることは想像以上に大変な作業です。

『舟を編む』は辞書を作るために人生を捧げる人間達の物語です。

なぜここまで大変な苦労をしてまで辞書作りができるのか?

「人は辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かび上がる小さな光を集める。
もっともふさわしい言葉でだれかに届けるために」

「言葉にまつわる不安と希望を実感するからこそ、言葉がいっぱい詰まった辞書を作ろうとしているんじゃないか」

この思いをもって「大渡海」と名付けられた辞書を作るため、有限の時間しか持たない人間が広く深い言葉の海に力を合わせて漕ぎ出していく。

「怖いけれど、楽しい。」

辞書作りに関わる登場人物たちによってナレーションが入れ替わり、辞書は完成に向かい、物語は進んでいきます。


『舟を編む』は、今月(11月9日)の日本経済新聞の「何でもランキング~誰かに薦めたくなる本~」第1位に選出された本です。
出版は2011年11月。
8年経った今でも、話題となり増刷が決定されたそうです。
もしまだこの本を読まれていない方がいたら。ぜひともこの機会に読んでみることをお薦めします。
文庫版もあるようですが、私はこの紺地の本の装丁が好きです。





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