2020年9月3日木曜日

ブックレビュー『本物の教養を身につける読書術』



タイトル:本物の教養を身につける読書術
著者:出口汪
出版年:2019年
ページ:219
Rate:4.5/5☆


情報が溢れている現在、受動的に情報を受け取るだけでは、情報が更新される度に一喜一憂してしまいます。
そのような情報に感覚的な反応しかできず、自分の都合のいい情報しか集められずに、自分こそが正しいと思いこんでいませんか?

本当に必要な情報を見極め、物事や他者を理解することができる教養のある人間になるには、「読書」が必要だと言われています。

この本では、「読書」を通して得られるものとは何か、具体的な読書法、そしてこれからの時代を生き抜いていくのに必要な力とはどのようなものかが書かれています。




「読書」を通して得られるものとは?


まず、この本でいわれる「読書」とは、名作と呼ばれる文学や哲学書、思想書と呼ばれる類であり、ネット情報をまとめたようなビジネス書や自己啓発本は含まれていません。

なぜ、ネットのような情報系の本ではなく、文学作品なのでしょうか。
ネット情報は、めまぐるしく更新され、次の瞬間には古い情報となってしまい、あとに何も残りません。
情報によって知ることは、それだけで考えることに繋がらないからです。

けれども、名作とよばれるものは、読者に想像力を強要します。
それは脳の中で論理的に筆者の主張を解析しようとさせるのです。
つまり、名作を読むためには、人の話の筋道を正確に理解することができる「論理力」が必要なのです。

想像力、表現力、発想力などの脳の総合力をアップさせる「論理力」を身につけることができる、それがこの本でいわれる「読書」なのです。


論理力を鍛えるための読書法について


では、具体的にどのようにして本を読めばいいのでしょうか。
著者があげる読書法の具体例からポイントを3つに絞って紹介していきます。

①自分の生活感覚を捨て去る
例えば、男は男であること、女は女であることに、とらわれずに読むこと。
つまり、一つのものを様々な角度からとらえる感覚、「レトリック感覚」をもつこと。

②自分が大切だと思った箇所でなく、筆者が主張したいことに線を引く。

③人に説明できるように読む
論理的に理解できれば、図式化できるはずです。
それを自分の言葉で人にうまく説明できれば、その文章は消化されたことになります。

これらからわかることは、ただ何となくという読み方ではなく、文章の筋道を追っていく読み方「ロジカルリーディング」を意識して読むといい、ということです。


これからの時代を生き抜くために


AIの普及により、苦痛を伴うような労働は代わりにロボットが担ってくれ、人間はより自由で創造的な生き方ができるようになります。

一方でそれにより、これから仕事がなくなる人と、大きく稼げる人との格差が大きくなってしまいます。
大きく稼げる人とそうでない人の差は、何なのでしょう。
人間にあって、AIにはないものを持っているかどうか。

それは「考える力」です。

「考える力」、つまり「教養」と「想像力」を備えていれば、生活のさまざまなシーンで創造性を発揮することができ、収入もケタ違いに変わるというのです。

「読書」は、日常考える必要のないことを考えさせる行為だと言われています。

いわば、AIの普及により生まれる格差は、本を読む人と読まない人の間に生まれている格差と同様と言っていいかもしれません。

ここまで言われると、読書がいかに大切であるかがよくわかります。

読書の必要性を知った今、では、どんな本を読めばいいのでしょうか。

この本では、著者自身の読書体験や、名作ガイダンスとして50作品の本の紹介がされています。
今後の本選びの参考となりそうです。


ちなみに、著者はこの本のなかで、「読書」は最強の老化防止策だとも言っています。


毎日少しでも本を読む習慣をつけて、論理力のトレーニングを重ね、AIにも負けない、豊かで素晴らしい人生を送れるようになるといいですね。


最後に、著者について


この本の著者である出口汪さんは、予備校のカリスマ現代文講師であり、評論家、実業家として現在も活躍されています。

実は、わたしも数十年前に、大学受験を控えた一人の生徒として、著者の現代文の授業を受けたことがあります。とにかく話が面白く、説得力のある授業が楽しくて、あっという間に時間が過ぎてしまった記憶があります。
そのころに「論理の基本ルール」「ロジカルリーディングとは」「接続詞の重要性」について学ぶことができ、そこで得た内容は、受験だけでなくその後の大学生活、社会人になってからも報告書や企画書などの資料を作成する際など、大いに役立つ機会があったかと思います。

著者の書いた本は、この本以外にも多数あり、それらの本では授業で教えてもらったエッセンスを効率よく学ぶことができるものとなっています。

現在受験生で現代文を学んでいる学生はもちろん、子供のいる親御さんにも今後の子育ての参考になる本かと思います。

気になる方はこちらも合わせてチェックしてみてください。







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